コラム

2023.1.31

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マスクでよく見る「不織布」とは?特徴や用途を解説

不織布とは

マスクはガーゼやウレタンなど、さまざまな素材で製造されます。

そのなかでも、花粉症用のマスクなどでも多く使われている「不織布」を使用したマスクが近年、新型コロナウイルス対策として多くの人に使われています。

本記事では、マスクでよく使われる「不織布」の特徴や用途について解説します。

 

不織布とは

不織布とは、織ったり編んだりせず、接着剤で糸を固めたものを指します。

一般的な布製品には平織りや綾織りといった、縦と横の糸を交差させて布を形成する「織物」と、輪を作って布を形成する「編み物」があります。

一方、不織布は先述の通り織ったり編んだりせず、さまざまな方向を向いた繊維を接着剤で固めた布を指します。

 

不織布の歴史

不織布は1920年代のドイツで考案されたと言われています。

当初、ドイツのフェルト業者が糸くずや紡毛などを接着剤で固めたものが不織布の始まりと言われており、フェルトの代用品として使われていました。

その後、不織布はドイツやアメリカなど世界各国の技術が発展したことにより、第二次世界大戦においては合成繊維やゴムの材料を応用して、現在の不織布と同じようなものが作られるようになりました。

 

不織布の特徴

不織布の特徴

こちらでは、不織布の特徴をメリットと注意点に分けてご紹介します。

 

メリット

不織布には、下記のように織物や編み物には無いメリットがあります。

 

吸水性、通気性、保湿性に優れている

不織布は織物や編み物よりも密度が小さく、細かい隙間が無数にあるため、水や空気に触れる表面積が広いことから吸水性や通気性、保湿性に優れているという特徴があります。

また、不織布は後述のようにさまざまな機能を持った糸を使用することができるため、吸水性や通気性、保湿性といった機能を向上させることができます。

 

厚みや密度を自由に変更することができる

不織布は使用する繊維の量や太さを調節することで、厚みや密度を自由に変更することができます。

高いクッション性が必要なものは厚みを上げたり、通気性を向上させたい場合は密度を下げたりといったことも可能なため、製造する商品に合った最適な不織布を作ることができる点は、織物や編み物には無いメリットだと言えます。

 

素材の組み合わせが豊富で、機能を付与しやすい

さまざまな糸を接着して布を形成する不織布には、多くの種類の糸が使われます。

そのため、織物や編み物のように1~2種類の糸だけではなく、吸水性や断熱性といった、さまざまな機能を持った糸を何種類も使うことができる点は不織布のメリットです。

 

さまざまな形状に加工することができる

不織布で作られるもののなかには、マスクやおむつといった衛生用品に使われる布だけではなく、レザー状や紙状、綿状といったさまざまな形状で製造することができます。

そのため、多くの用途や場所で使用することができる点もメリットだということができます。

 

裁断部分がほつれない

織物や編み物は布の部分を裁断した場合、裁断部分の糸がほつれてしまいますが、接着剤で固めている不織布はどの部分を裁断しても、糸がほつれることがありません。

そのため、さまざまな形状に加工がしやすく、加工後も形を維持しやすいといった特徴があります。

 

注意点

不織布を使用して製品を製造する場合、下記のポイントに注意しましょう。

 

織物や編み物よりも強度が低い

不織布は接着剤で糸を固めて製造するため展性や延性が少なく、織物や編み物よりも強度が低い傾向にあります。

しかし、使用する接着剤の種類によって強度を上げられるため、技術的に解決することができる問題だと言えます。

 

繰り返しの使用には向いていない

先述の通り、不織布は織物や編み物よりも強度が低いため、繰り返し使用する製品への使用には不向きであると言えます。

一方、不織布は織物や編み物と比べて製造コストが低いことから、使い捨ての商品に対して高い需要がある布であると言えます。

 

不織布は何に使われる?

下記、不織布に使われるものの一例です。

 

衛生用品

マスクやおむつ、ガーゼといった多くの衛生用品に使われています。

衛生用品は衛生や清潔を保ったり、汚れやウイルスの侵入を防いだりするため、使い捨てることが多いものです。

そのため、低コストで大量生産することができる不織布が使われる傾向にあります。

 

自動車内の資材

不織布は自動車において、足元に敷くカーペットにも使われています。

カーペットに使用する不織布には耐久性が求められているため、分厚くて高密度のものが取り入れられています。

 

土木資材

土木資材において不織布は、防音や河川工事用といった目的で使われます。

工事などを行う際、業者は先述した用途のため新しい布を用意しますが、織物や編み物はコストが高くなってしまうため、低コストで大量に生産することができる不織布で製造された布製品が採用されることが多いです。

 

日用雑貨

日常生活で目にするコースターやキッチンペーパー、たわしなどは不織布で作られたものの一例です。

これらも1回、もしくは数回使用した後に処分されることが多いといった特徴があります。

 

不織布マスクについて

不織布マスクについて

先述の通り、さまざまな機能を付与し、低コストで大量に生産することができる不織布は、マスクにも使われます。

不織布をマスクに使用することによって、下記のようなメリットを得ることができます。

 

高いフィルター機能

不織布は、密度や厚さを自由に変えることができるといった特徴があります。

マスクに不織布を使用することで、高い通気性と細かい粒子の侵入を防ぐといった効果を両立させることができます。

近年では花粉症だけではなく、新型コロナウイルスの流行に伴い、不織布を使用したマスクの需要が高まっています。

 

飛沫の吸い込み抑制

不織布マスクはウレタンマスクや布マスクと比べて、飛沫の吸い込みを抑制するフィルター機能が高いと言われています。

そのため、着用者が発した咳やくしゃみを外気に触れさせず、飛沫や病原体の吸い込みといった、感染症の予防に有効です。

 

多層構造による機能の付与

不織布は1枚の布でもさまざまな機能を付与することができますが、薄い不織布を複数層に重ねることで、1枚あたりに付与された機能を強化することができます。

そのため、高い機能性を持った不織布マスクを製造する際、多層構造で製造するようにしましょう。

 

不織布の原料

不織布の原料として使われるものを、下記にてご紹介します。

 

ポリエステル

ポリエステルは強度や耐熱性が高いことから、多くの衣類に使われている素材です。

また、染色性にも優れているため、好みの色に染めることができます。

 

ポリプロピレン

ポリプロピレンは化学繊維のなかでも比重が軽いもので、加工性が高く、成型品にも適しています。

また、ポリプロピレンは強度が高く、なめらかな風合いを持つことから、マスクのように肌に触れる製品にも使われます。

 

レーヨン

原材料が木材やパルプのレーヨンは染色性や吸水性、吸湿性に優れている繊維の原料です。

一般的には衣料品に使われていますが、さまざまな用途や目的に対応することができます。

 

おわりに

本記事では、不織布について解説しました。

不織布はさまざまな糸を接着剤で固定して成形した布で、吸水性や通気性などが高く、厚みや密度を自由に変更することができるといった特徴があります。

ノベルティなどでマスクを製造する際、低コストで大量に生産でき、さまざまな機能を付与することができる不織布を選んではいかがでしょうか。